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長時間労働がうつ病の原因になる理由とデータ

こんにちは!

薬剤師・心理セラピストの大西智子です。

2015年12月の、電通社員の過労自殺以降、過労・長時間労働と、うつ病などの精神疾患との関係が注目されています。
長時間労働は、どのように精神を蝕んでいくのでしょうか。

 
「5時間睡眠」の鬱病リスクは100時間残業と同等!_20171108_1

 

実長時間労働とうつ病などとの関係を追跡した研究はそれほど多くないのですが、数少ない研究報告のうち比較的有名なのは、英国のグループが数千人の公務員を追跡調査した結果です。

1日の労働時間が11時間を超えていた人は7-8時間の人に比べ、約5年後のうつ病の発症リスクが2.4倍ほど高かったと、というのがその結果です。

一方、最近の研究の中で重視されているのは、長時間労働によって招かれる睡眠時間の短縮です。
睡眠時間が減ると、頭が働かなくなって時間内に業務を遂行できず、残業がさらに増えて更に睡眠時間が減ってしまう、という悪循環に陥りやすくなります。
肉体的疲労が蓄積された状態で、人間関係など他のストレス要因がわずかでも加わると、持ちこたえられなくなってしまう、というのです。

企業の健康診断を受け持っている医師によると、睡眠が5時間を切るあたりから、うつ病や適応障害などのメンタル不調が増えるようです。
通勤時間を考えると、5時間睡眠は月100時間程度の残業に相当します。

実は政府が次期国会で成立をめざしている「働き方改革法案」では、残業時間を「単月100時間未満」とすることが盛り込まれています。
月100時間は「過労死ライン」とも呼ばれていますが、これは過労死の労災認定の根拠となる「脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準」に、著しい疲労の蓄積をもたらしたかを判断する目安として月100時間の記載がある、ということがベースになっています。

うつ病などに関しては、「心理的負荷による精神障害の労災認定基準」があります。
「強い心理的負荷」となる長時間労働として「発病直前の3カ月間連続して1カ月あたりおおむね100時間以上の時間外労働」などを例示し、月100時間程度の「恒常的長時間労働」と転勤などの出来事との組合せも、強い心理的負荷を招くとしています。

皆さんは、毎月の残業はどれくらいなのでしょうか?
強い責任感を持って業務を遂行することは、もちろん素晴らしいことではありますが、ご自分の肉体的・精神的な限界を超えてしまわないよう、「月間100時間」を一つの目途として、気をつけながらお過ごし下さい。

 
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